【本記事の知恵と哲学について】
本記事は、身体教育家・佐藤式の視点から、食と身体の歴史的な適応の重要性を解説しています。その理論は、医療従事者である吉野敏明氏が提唱する「民族を超越した健康食はない」という哲学に基づいています。
【トマトの真実・前編】「その健康常識が子宮を冷やす」— 婦人科系の不調は「外来の食」への適応失敗だった
【結論】トマト好きの女性が陥りやすい病気は、
子宮疾患(生理痛・出血過多)である。
「リコピンが豊富で体に良い」とされるトマト。しかし、この「健康常識」に従い、トマトを一年中、大量に食べ続けることで、現代女性の多くが子宮の冷えという深刻な問題に直面しています。
この現象は、個人の体質の問題ではなく、南米発祥の「外来の食」が日本の風土や身体の歴史的適応と合致しないために起きている構造的な問題です。本記事では、この結論を支える「民族と食の哲学」を解説し、いかにして私たちの身体が特定の食物に適応しているかを深掘りします。
1. 日本人の身体に組み込まれた「縄文の食」の知恵
私たちの祖先が、日本の気候と風土に適応する中で見つけた「縄文の食」の知恵は、現代の私たちが持つべき最も重要な健康哲学です。
1-1. データ:貝類が優位であった「脂肪の黄金比率」
縄文時代の主要なタンパク源は、動物性脂肪(肉)ではなく、海産物、特に貝類が優位であったことが示唆されます。
- 脂肪酸のデータ: 貝に含まれる脂肪は、細胞膜やホルモン生成に不可欠な飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が、理想的な比率とされる「1対1(50%対50%)」に近い割合で含まれています。
- 必須栄養素の供給: 動物性脂肪は、細胞膜やホルモン(特に女性ホルモン)の材料となるため、これを摂取しない人は生理不順や無月経になる可能性が指摘されています。貝は、肉や魚を個別に食べるのと同じ役割を果たせる「完全食」に近い存在でした。
- 環境問題による影響: 現代では海洋汚染や乱獲により、貝の生産量はピーク時の1/100程度に激減しており、私たちはやむなく他の動物性タンパク質に頼らざるを得ない状況にあります。
1-2. データ:日本の伝統野菜は「内臓冷却機能」を持つ
日本の伝統的な夏野菜、例えばスイカやキュウリ、ゴーヤなどは、その土地の気候に適応した明確な機能を持っています。
- 体温低下のメカニズム: これらの野菜の共通点は、体温、特に内臓の温度を下げる作用があることです。暑い夏を乗り切るための「身体教育」として機能していました。
- 季節限定の知恵: 体を冷やす作用を持つ夏野菜を、寒い冬にハウス栽培してまで食べることはありませんでした。
2. トマトの非適応性:南米発祥と「子宮冷え」の関連性
トマトが持つ「外来の食」という特性と、その強い冷却作用が、日本人の身体、特に女性のデリケートな器官に過度な負荷をかけていると考えられます。
2-1. データ:南米原産の歴史的背景と現代の大量消費
トマトは南米(ペルー、エクアドルなど)原産の食材であり、食用として普及したのはわずか200〜300年前(18世紀〜19世紀)という、人類の食の歴史から見ればごく最近のことです。
- 観賞用からの転用: トマトがナス科の植物であり、毒性がある可能性から、ヨーロッパでは当初、観賞用の植物として扱われていました。
- 現代の流通構造: 南国の夏にしか育たないトマトが、ハウス栽培技術により一年中、大量に手に入るようになったことで、その強い冷却作用が季節を問わず身体に影響を与え続けています。
2-2. 臨床的知見:トマトの過剰摂取と子宮疾患の相関
吉野医師が約15年にわたる食事指導から得た臨床経験に基づくと、トマトの過剰摂取と子宮疾患(生理痛、出血過多など)には強い相関関係が見られます。
- 特定の冷却作用: トマトの冷却作用は、きゅうりやスイカなどの他の夏野菜の過剰摂取と比較しても、特に子宮を冷やす傾向が強いと推測されています。
- 東洋医学的見地: この推測は、多くの症例に基づき、特定の食物が身体の臓器に与える影響を経験的に積み重ねる東洋医学的なアプローチによって導き出されています。
- 症例データ: 実際にトマトの摂取を一時的にやめてもらった症例では、生理痛が軽くなったり、症状が治るケースが多く確認されています。
【後編予告】現代女性を救う「食の引き算」プログラム
トマト単独の問題ではなく、現代女性の食生活には、子宮疾患を加速させる**「複合的な冷えの罠」**が潜んでいます。後編では、子宮疾患と深く関わる乳製品・甘いものといった「病気の元(炎症の元)」との関係性を解き明かし、身体を根本から立て直す具体的な「食の引き算」プログラムを解説します。
【シリーズナビゲーション】
(元動画:YouTube トマトは体に良いのか?トマト好きの人が気をつけないといけない病気)
【本記事の知恵の出典(エビデンス)】
- 株式会社 明治. 乳製品・乳素材の研究 | 学会発表・論文. [url: https://www.meiji.co.jp/quality/r_d/report_society/milk/] (牛乳由来α-ラクトアルブミンによる月経痛緩和の傾向)
- 日本大学リポジトリ. 牛乳由来α-ラクトアルブミンの抗炎症作用に関する研究. [url: https://nihon-u.repo.nii.ac.jp/record/2000594/files/Yamaguchi-Makoto-3.pdf] ( α-ラクトアルブミンの抗炎症作用とCOX-2阻害活性)
- 吉野敏明セレクトチャンネル【公認】. トマトは体に良いのか?トマト好きの人が気をつけないといけない病気. [url: http://www.youtube.com/watch?v=4vsb698iqSk] (医師の臨床経験に基づく食の哲学、漢方的見地、子宮疾患とトマトの相関、問診方法、代替食など)