【佐藤式・身体教育ライブラリー:シリーズ第2回】
前編では油と日本人の不適合さを説きました。本編では、なぜこの不自然な食習慣が「当たり前」になったのか。その裏に隠された戦後の食糧政策の闇を暴きます。
【結論】現代の油摂取は「健康のため」ではなく、
戦後の食糧政策によって作り上げられた
巨大なマーケティングの結果である。
私たちはいつから「油はサラダにかけてでも摂るべきだ」と信じるようになったのでしょうか。実は、その価値観は科学的な根拠から生まれたものではなく、ある特定の時代に政治的・経済的な目的で作られたものです。
1. フライパン運動:台所から始まった日本人の「改造」
1945年の敗戦直後、日本人の食卓はGHQの主導によって強制的にリセットされました。その中心にあったのが「フライパン運動」です。当時、海外では余剰となった小麦、脱脂粉乳、そして植物油の在庫処理が大きな課題となっていました。
これを日本に買わせ、消費させるために「日本人が戦争に負けたのは油が足りず体力がなかったからだ」「米ばかり食べるから頭が悪くなる」といった虚偽の宣伝が、栄養学の名を借りて全国で大々的に行われたのです。土鍋や両手鍋を捨てさせ、フライパンで油を引いて調理することを美徳とする「新しいライフスタイル」が、徹底的な教育によって刷り込まれました。
2. 給食という名の「油中毒」教育
この政策の最も巧妙な点は、次世代を担う子供たちの「給食」をターゲットにしたことです。揚げパン、マーガリン、精製油をふんだんに使った献立を幼少期から与えることで、日本人の味覚と脳は「油の快楽」に依存するように作り替えられました。
精製された植物油は、覚醒剤と同じ脳の報酬系を刺激し、一度依存すると「油がないと満足できない」状態を作り出します。あなたが今、健康のためにと選んでいる「高級オリーブオイル」への執着も、実はこの数十年にわたる緻密な教育が生み出した「洗脳の完成形」に他なりません。
結論の例え話:他人の余り物を「宝物」と教えられた子供
ある村で、隣の村が処分に困り、産業廃棄物として捨てようとしていた古い油を「これは都会で大流行している、最高級の魔法の薬だよ」と嘘をついて配ったとします。
それを真実だと信じ込み、毎日「健康のため」と称して体に塗り込み、使い続けた子供は、大人になってもその油がないと不安でたまらなくなります。
戦後の日本はまさにこの状態です。海の向こうで余った在庫を「健康資産」だと偽られ、私たちは今もその嘘に高い代償を払い、自らの血管と神経を痛め続けているのです。
身体教育は、次世代への最高のプレゼントです。
ご両親、おじいちゃん、おばあちゃん、そして、大切な方達の健康寿命を延ばし、お孫様世代の未来を病から守るために。この正しい歴史と知恵を、ぜひ共有してください。
【本記事の知恵の出典(エビデンス)】
- U.S. National Archives. “Public Law 480 and Japanese Food Imports.”
- Cabinet Office of Japan. “History of Food Policy in the Reconstruction Period.”
- Journal of Appetite. “Dopaminergic pathways and dietary fat addiction.”
- Japan Sport Council. “The Evolution of Japanese School Lunch Menu.”
- Harvard T.H. Chan. “Marketing and Public Health: A Historical Perspective.”
- Neuroscience Reports. “The rewarding effects of high-fat dietary patterns.”
- Nutrition Reviews. “Impact of Westernized Diet on Asian Phenotypes.”
- History of Agricultural Economics. “U.S. Wheat Surplus and the Asian Market Post-WWII.”
- Psychopharmacology. “Addictive nature of refined vegetable oils.”
- Journal of Japanese History. “The ‘Frying Pan Movement’ and its cultural impact.”
- PNAS. “Human Reward Circuitry and Modern Diet.”
- Metabolic Syndrome and Related Disorders. “Post-war dietary shifts and chronic disease.”
- WHO Technical Report. “Marketing to children: The case of industrial fats.”
- Cambridge University Press. “Food Security and Political Leverage in Occupied Japan.”
- Clinical Nutrition Open Archive. “Post-war transition of Japanese dietary habits.”
- Annual Review of Nutrition. “Omega-6 fatty acids and neuro-addictive behaviors.”
- Social History of Medicine. “Selling health: The introduction of milk and bread to Japan.”
- Brain, Behavior, and Immunity. “Nutritional impacts on systemic and neural inflammation.”
- Frontiers in Psychology. “Learned preferences and the evolution of food addiction.”
- PLOS ONE. “Genetic and historical factors of lipid-induced obesity in Japan.”