歩行のイメージ

STEP1|歩行が人生に与える影響を知る
— 50代から“歩き方ひとつ”で体は静かに変わりはじめる —

あなたはこれまでの人生で、どれくらいの距離を歩いてきたと思いますか。
計算してみると、50代までに地球を何周もしてしまうほどの距離を、私たちは無意識に歩いています。

その“何周分もの歩行”が、今の体の状態をつくっています。
腰の重さ、膝の違和感、ふくらはぎの張り、夕方になると出てくるだるさ――。
多くの方は「年齢だから」「運動不足だから」と考えがちですが、
実際には歩き方のクセの積み重ねであることが少なくありません。

だからこそ、50代からの健康づくりは、
「特別な運動をがんばる」よりも、
“毎日くり返している歩き方を整える”ほうが、静かで確かな変化を生みます。

■ 歩行は「体の言葉」― 体は歩き方で本音を語る

歩行は、移動のための動作であると同時に、
「今の体がどの方向に流れやすいか」を教えてくれるサインでもあります。

・片足だけ外側に回ってしまう
・膝同士が近づいて歩いてしまう
・いつも片側の靴だけ減りが早い
・足音がドスンと響く

こうした小さなサインは、体が毎日送っている“声”のようなものです。

その声を無視したまま何十年も歩き続けると、
足首 → 膝 → 股関節 → 骨盤 → 背骨 と、
少しずつねじれが積み重なり、50代以降に「なんとなく調子が悪い」という形で現れます。

■ 50代から突然「あれ?」が増える理由

20〜30代のころは、多少無理な歩き方をしていても、筋力でごまかすことができます。
ところが50代になると、筋肉の“ごまかし力”が少しずつ弱まり、
それまで隠れていたクセが一気に表面化してきます。

「特別なことはしていないのに、最近歩くと疲れやすい」
「膝や腰が、何となく重く感じる日が増えた」
その背景には、歩き方の順番のズレが静かに潜んでいます。

これは、あなたが悪いわけでも、根性が足りないわけでもありません。
ただ、長い年月のあいだに、少しずつ積み重なった結果です。

■ 足裏3点という“入り口”― かかと・小指側・母趾球

歩行を専門的に見ていくと、
どんな方の足裏にも共通している3つのポイントがあります。

  • かかと
  • 小指側
  • 母趾球(親指のつけ根)

この3点は、ただ地面に触れているだけの場所ではありません。
「重心がどの順番で流れていくか」を決める、大切な入り口です。

そして、この順番が少し入れ替わるだけで――

  • 膝が内側・外側にねじれやすくなる
  • ふくらはぎが必要以上にがんばってしまう
  • 太ももの前側にばかり力が入る
  • 骨盤が前に倒れ過ぎたり、丸まり過ぎたりする

こうした“全身の連鎖”が起こります。
逆にいえば、この入り口を整えるだけで、体全体の負担がすっと減るということでもあります。

■ 「つま先?かかと?」― 正解は、ここでは言い切りません

よくいただくご質問に、
「結局、つま先から着地するのが正しいのか、かかとからなのか?」
というものがあります。

歩行の専門家のあいだでも意見が分かれるテーマですが、
実はこの問いに一言で答えることはできません。
なぜなら、骨格・足の形・筋力・これまでの歩き方のクセが、人によってすべて違うからです。

ですから私は、ホームページ上で
「正しい歩き方はコレです」とは言い切りません。

その代わりに、あなたにはこう感じてほしいと思っています。

  • ✔「自分の足は、どの順番で地面を感じているんだろう?」
  • ✔「かかと・小指側・母趾球のうち、どこを使えていないんだろう?」
  • ✔「自分の歩き方を、一度ちゃんと見てもらった方が早いかもしれない」

この“素朴な疑問”こそが、歩行を整えるための最初の一歩になります。

■ 観察すれば、体は必ず答えを教えてくれる

初回の場では、難しい検査や痛みを伴う動きは行いません。
まずは、ゆっくり立ち、ゆっくり歩いていただきます。

そのときに私が見ているのは、

  • ・どの足から出やすいか
  • ・最初にどこが地面を感じているか
  • ・体重がどの方向へ流れていくか
  • ・膝とつま先の向きが合っているか
  • ・腕の振りと足の動きが連動しているか

こうした“体からのメッセージ”を一緒に観察していくと、
多くの方がその場でこうおっしゃいます。

「あ…私の体、本当はこう動きたかったんですね」

強い刺激も、無理な動きも必要ありません。
あなたの体が持っている“本来の動き方”を思い出すきっかけをつくること。
それが、私の役目だと考えています。

佐藤昌史と妻

(写真:妻と共に)

身体観察家/身体教育家 佐藤 昌史(1967年生)

大阪市中央区なんばにて、歩行・姿勢・足裏感覚・食習慣など
“体の観察力”を育てる身体教育を行なっています。
延べ80,000件以上の経験をもとに、からだ本来の使い方へ静かに戻す
“やさしい整え方”を提案。著書は Amazonランキング3作連続1位。
一人ひとりの体の声を丁寧に聴きながら、無理のない方向へ導くことを大切にしています。

ご予約・お問合せ:info@cs60japan.com
電話番号:070-1045-4503

※当ページの内容は医療行為・診断・治療を目的としたものではありません。必要に応じて医療機関の受診をご検討ください。