減塩よりも大切なこと。腎臓専門医が教える「塩と油」の真実
こんにちは。身体観察家の佐藤 昌史です。
腎臓リハビリシリーズ、いよいよ最終回です。
ここまで、「4毒(油、小麦、乳製品、甘いもの)を断つことが最優先」とお話ししてきました。
しかし、多くの方がここで一つの疑問を持ちます。
「腎臓に悪いのは『塩分』じゃないんですか?」
病院では必ず「減塩してください」と言われます。
味噌汁を薄め、醤油を控え、味気ない食事を我慢している方も多いでしょう。
しかし、最新の腎臓リハビリの現場では、その常識が覆されつつあります。
今回は、ご自身も透析経験がある腎臓専門医・船木先生の教えを元に、本当に守るべき食事の優先順位について解説します。
1. 腎臓専門医の教え「減塩よりも断油」
船木先生は、腎臓病患者に対してこう指導しています。
「塩分制限やタンパク質制限よりも、まずは『植物油』を絶対に摂らないこと」
これは衝撃的な事実です。
なぜなら、塩分よりも先に、植物油が引き起こす「血管の炎症」や「臓器の萎縮」を止めなければ、いくら塩を減らしても腎機能は回復しないからです。
吉野敏明医師も、自身の臨床経験からこれに強く賛同しています。
油を摂り続けている患者さんは、歯茎などの毛細血管の再生が悪く、逆に油をやめると腎機能の数値(eGFRなど)が改善していくのです。
2. 「塩」は悪者ではない?精製塩と天然塩の違い
では、塩はいくら摂ってもいいのでしょうか?
ここで重要なのが、「塩の質」です。
- 精製塩(食塩): ミネラルが取り除かれた、塩化ナトリウム純度が高い塩。これは血圧を上げ、腎臓に負担をかけます。NGです。
- 天然塩(良質な塩): 「ぬちまーす」や「雪塩」など、海水のミネラル(カリウム、マグネシウム等)がそのまま含まれている塩。これらは体内のミネラルバランスを整えるため、過度に制限する必要はありません。
船木先生も「良質な塩なら、そんなに気にしなくていい」と仰っています。
むしろ、減塩しすぎて元気がなくなったり、食事が楽しくなくなったりする方が、リハビリ(運動)をする気力を奪ってしまいます。
3. 結局、何を食べればいいの?~佐藤式・食事の結論~
5回にわたりお伝えしてきたことを踏まえ、今日から実践できる食事の指針をまとめました。
【引くもの(4つの課題)】
- 植物性油: 揚げ物、炒め物、ドレッシング、マヨネーズ
- 小麦: パン、麺類、クッキー
- 乳製品: 牛乳、チーズ、ヨーグルト
- 甘いもの: 砂糖、お菓子、果物、サツマイモ(特に干し芋)
【足すもの(食べるべきもの)】
- 主食: ご飯(太っている方は玄米、痩せている方は白米)、十割そば
- 主菜: 魚(煮る・焼く・刺身)、大豆製品(納豆・豆腐 ※油揚げはNG)
- 副菜: 海藻、きのこ、季節の野菜(お浸しや蒸し野菜)
- 調味料: 良質な塩、味噌、醤油(小麦が入っていても発酵していればOK)
これはいわゆる、戦前の日本人が当たり前に食べていた「一汁三菜」です。
特別なスーパーフードはいりません。
フライパンを捨て、蒸し器や鍋を使う生活に戻るだけで、腎臓は静かに回復を始めます。
シリーズの終わりに
「腎臓リハビリ」とは、単なる臓器の治療ではありません。
それは、現代の便利すぎる食生活によって失われた、「人間本来の生命力」を取り戻すためのリハビリです。
油を抜き、自分の足で歩き、お母さんの味がする和食をよく噛んで食べる。
これだけで、あなたの体は3年後、見違えるほど軽やかになっているはずです。
「これならできそう」と思ったら、今日から一つでも始めてみてください。
あなたの健康な未来を、心から応援しています。
相談は全国対応です。Eメールは24時間受付中。
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(写真:妻と共に)
延べ80,000件以上の経験をもとに、からだ本来の使い方へ静かに戻す“やさしい整え方”を提案。
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一人ひとりの体の声を丁寧に聴きながら、無理のない方向へ導くことを大切にしています。
引用・参考文献:
- [source] 吉野敏明チャンネル, “腎臓リハビリテーションと食事療法”
- [context] 精製塩と天然塩の成分差および血圧への影響に関する栄養学的見解
- [context] 船木腎クリニック「腎臓リハビリテーション」に関する公開情報
※本記事の内容は、特定の医学的助言を提供するものではなく、情報の提供を目的としています。
※本記事は吉野敏明医師の提言や公開情報を元に、身体観察家の視点で構成したものです。
※健康状態に関する判断や治療については、専門の医師にご相談ください。
※引用されたエビデンスは記事執筆時点のものであり、将来的に更新される可能性があります。








